タイトルの通り、ワインの名称に出てくる 「Côte」 と 「Coteaux」 は非常に紛らわしい言葉です。 両者ともに丘陵地や斜面を表す言葉ですが、「Côte」は 「コート」 、「Coteaux」は 「コトー」 と表記されることが多いようです。 「Côte」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Côtes du Rhône (コート・デュ・ローヌ) ・Côtes de Provence (コート・ド・プロヴァンス) 一方で、 「Coteaux」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Coteaux Champenois (コトー・シャンプノワ) ・Coteaux Bourguignons (コトー・ブルギニヨン) この2つの言葉の違いを調べてみましたが、どうやら 「Côte」 の方が狭い、特定の丘陵地・斜面を表し、 「Coteaux」 は比較的広い地域を表し、複数の丘陵地・斜面を表すことが多いようです。 例えば、 「Côtes du Rhône 」 はローヌ川沿いにある斜面という特定の地域のブドウ畑から造られたワインを示しています。一方で、 「Coteaux Champenois」 は、シャンパーニュ地方にある広範囲の数々の丘陵地から造られたワインを指しているようです。 詳しいことはそこまでよくわかりませんが、 ・「Côte」 → 狭い、特定のエリア ・「Coteaux」 → 広い、包括的なエリア のような使われ方のようです。 ちなみに、プロヴァンス地方のロゼワインのAOCでは、広さにそんなに違いがないにも関わらず「Côte」と「Coteaux」 の名が付くAOCが入り混じっています。 「Côte」と「Coteaux」 のどちらが含まれるのかは、必ずしも広さだけでは決まらないようです。 <了>
南オーストラリア州には、いくつかの有名なワイン産地があります。これらはオーストラリアのワイン法で、地区(Region)と呼ばれるレベルのものです。(ZONE > Region > Sub-region)
広大な南オーストラリア州のうち、ワインの主要産地は南端のごく一部です。
各地区はそれぞれ独特の気候を持ち、その気候にあったブドウ品種が栽培されています。
この記事では、それぞれの地区が持つ気候の特徴と、栽培されている品種をまとめて行きたいと思います。
まず、南オーストラリア州のサイズ感ですが、下の地図をみるとよくわかります。
しかし、主要なワイン産地のうち、北端のクレアヴァレーから、南端近くのクナワラまで約500kmあり、ここに東京ー大阪間がすっぽりと収まってしまいます。
いかに広大な土地に広がっているかがよくわかります。
では、ここから主要産地の場所と、気候特徴、主要品種を見ていきたいと思います。
一気に箇条書きにまとめてみました。
① クレア・ヴァレー(Region; 地区)
- 温暖な気候
- 冷涼な風と夜間の気温の低下による緩和効果がある
- 昼夜の気温差によって、果実の成熟が遅くなり、酸味が保持される
- 尾根/丘と谷が連続しており、
- ⇒ 標高の高い地域で、リースリングなどが栽培さる
- ⇒ 標高の低い地域で、シラーズやカベルネソーヴィニヨンが栽培される
② リヴァーランド(Region; 地区)
- 暑い大陸性気候(川や海からの若干の冷却効果あり)
- グレートディヴァイディング山脈の影響で雨が少ない
- ⇒ 大量収穫の健康的なブドウ栽培に理想的な環境
- ⇒ 低価格、大量生産ワインが製造される(GIサウス・イースタン・オーストラリアなど)
③ クナワラ(Region; 地区)
- 温和なボルドーに似た気候
- 海風と雲による気温の緩和効果あり
- テラロッサ土壌(水はけがよく、水と影響の摂取を制限する土壌)
- ⇒ 樹勢が制限され、果実の凝縮度が増す
- ⇒ カベルネソーヴィニヨン、シラーズ、シャルドネ、リースリングが栽培されている
④バロッサ・ヴァレー(Region; 地区)
- 温暖な気候(夏は暑いが、夜は涼しい)
- ほとんどの畑は平野にある
- ⇒ フルボディの赤ワインに適した環境
- ⇒ シラーズ、カベルネソーヴィニヨンが主に栽培される
- ⇒ フルボディのシャルドネやセミヨンも造られる
⑤イーデン・ヴァレー(Region; 地区)
- なだらかな丘陵地帯(ロフティ山系の一部)で、バロッサヴァレーよりも標高が高く、より涼しい気候
- ⇒ リースリングが最も多く栽培される
- ⇒ シラーズは、バロッサヴァレーよりも酸味が高く、タンニンに骨格があり、アルコールが低い
⑥マクラーレン・ヴェール(Region; 地区)
- 温暖~暑い夏
- 気温は湾やアデレードヒルズからの風で緩和される
- ⇒ 黒ブドウが収穫の90%を占めている
- ⇒ シラーズ、カベルネソーヴィニヨン、グルナッシュの栽培が多い
⑦アデレード・ヒルズ(Region; 地区)
- 冷涼~温和な海洋性気候
- 標高による冷涼効果
- ⇒ 比較的涼しいために、ソーヴィニヨンブラン、シャルドネ、ピノノワールが多く植えられる
- ⇒ 昼夜の気温差のために酸味が保持される